「一人の少年が、強い冬の陽光を受けほとんど丘を転げ落ちるようにして走っている絵です。片手を広く泳がせながせながら、そして黒い影が少年の後を追ってかけている。ところどころに残雪そしてあらゆるものとのつながりを断たれてしまったという私の気持ち。それは途方に暮れている私でした。空をただようあの片手は私の魂でした。何かをつかもうとまさぐっている。その丘の反対側の彼方に父が殺された場所がありました。私は父の絵を一枚も描いておかなかったことを悔やみました。とうとうその丘が父の肖像になってしまった。」
by つっちゃん
アンドリュー・ワイエス「1946年の冬」